「Happy Birthday to You」
「まったく、なんなのよ!人呼びつけといてさぁ!」
正月も松の内を過ぎたころ。
防衛軍付属病院看護士の「楽 天子(らく あまね)」は、旧知の仲の山本明に呼び出されていた。
イスカンダルへの旅。
天子は山本とはお喋り仲間。
医務室のドンで姉御肌…そりゃあ、年が10歳も離れていれば仕方ないけれど…の天子は、山本から「てんこ」さんと呼ばれ、暇なときは山本の淹れた珈琲などを飲みながら、世間話などをしていたのだ。
そんな仲の山本から、ヤマトを降りて久しぶりに連絡が入った。「会いたい」という。
ヤマト一のイケメン、山本からのお誘いである。
天子は柄にもなくその知らせにときめいたりして、ちょっといつもより念入りに化粧などして、待ち合わせの時間よりも10分ほど早く到着してしまったのだ。
折からの大雪。
しかも、待ち合わせ場所はメガロポリス一広大な公園の冬季は水の出ない噴水の前。
指定の時間は午後6時。
天子はすでに身も心も凍りつこうかというところだった。
「てんこさ〜〜ん!」
フリーザー状態の天子は、「キッ」と声のする方を振り返る。
にこにこ笑う山本が、約束の時間きっかりに登場した。
「まったく、なんなのよ、人を呼びつけといて待たせて!」
「は?」
「もう、寒くて寒くてしょうがないじゃない!」
「待たせた?」
山本は公園の大時計を見上げた。
時間は午後6時1分。
山本は頭を垂れた。
「すみません!1分も遅刻して!」
「そうよ、そうよ。あんたはいつもあたしを待たせるのよ!」
天子の機嫌は直らない。が---
「ところで、用事ってなに?」
「ああ。ほら。てんこさんの誕生日…って、新年明けて早々だったでしょう?そろそろかなって思って。」
「馬鹿!あたしの誕生日なんて、もうとっくに過ぎてるのよ!人を待たせた挙げ句、誕生日まで忘れるのぉ?」
「…あれ?いつだったっけ?」
「…5日よ、5日!」
「ああ…わはははは、随分過ぎちゃったなあ。すみません。でも、誕生日おめでとう!」
「もういいの。あたしは素敵な彼に祝って貰ったんだから。」
「…ああ、そうでしたね。イスカンダルから帰って、無事に恋人とよりを戻したんですね。それもおめでとうございます。」
てんこは、「ふふん」とすでに寒さで真っ赤になっている鼻をこすった。
「で?誕生日っていうからには、プレゼントなんかくれるの?」
「は?」
山本は点目になった。
実は、食事などごちそうになりたい…と思っていたのは山本だった。この正月に加藤三郎の家に遊びに行ったら、加藤の弟や妹たちにごそっとお年玉と称して金を巻き上げられていたのだ。懐の寒い山本だった。
「プレゼントよ、プレゼント。まさか、おめでとう!だけじゃないんでしょう?」
「はぁ…。」
山本は腕組みをする。そして、ひらめいた。
「ちょっと待っててくださいね〜。」
「なによ。」
山本はかがみ込むと、小さな雪玉を作った。
手袋などしていない山本は、素手で、でも、それほど寒そうな気配もなく、作った。
そして、それをころころと転がし始め…雪だるまを作り出した。
「な…なにやってるの?」
天子が驚いていると、なにやら山本はぶつぶつとつぶやいている。
天子は耳を澄ました。
「…はっぴぃばーすでぃ つーゆー
はっぴぃ ば〜すでぃ つ〜ゆ〜
はっぴぃ ば〜すでぃ Dear てんこさ〜ん
はっぴぃ ば〜すでぃ とぅ〜ゆぅ〜♪」
(…は…鼻歌歌ってる!あの、山本がぁ!)
天子は耳を疑いながら、でも、嬉しくなって、一緒になって雪だるまを作り出す。
大きな雪玉とちょっと小振りの雪玉。
ふたつを重ねて…
落ちているもので顔を作った。
「出来た!」
「完成だわね。」
しげしげと雪だるまを眺めるふたりは、仕事をやり遂げた充実感で爽快だ。
山本が突然笑い出した。
「な…どうしたの?」
「なんだか、この雪だるま。てんこさんみたいだなあ。」
「…小太りって言いたいの?え?」
「違うって---。どーしてそういう風にとるかなぁ。ほら、どことなく…気恥ずかしそうでさ。でも、存在感はばっちりで。」
「…。」
「ヤマトの中でも、てんこさん、密かに森サンより人気者だったもんなぁ。」
「ふん。年の功って奴よ!」
「またまた、そんな風に照れてさぁ。人が誉めてんだから、もっと素直に喜んでよ。」
「…。」
雪だるま。
どこが自分に似てるんだか---。
「ま、色白の所だけは、あたしにそっくりね。この雪だるま。」
「じゃ、この雪だるまとさっきの鼻歌がプレゼント…ということで。」
「え?」
山本はくるり…と背を向けて、天子の方を見ずに手をあげて、「ばいばい」と手を振って歩き始めてしまった。
ちょ…ちょっと待ってよ…と天子はうろたえて、思わず、叫んでいた。
「ちょっと待ちなさいよ、山本!夕飯、ごちそうしてあげるから、どっか食べに行こう!」
山本が、「にやり」と笑ったのは言うまでもない。
誕生日おめでとうございます。
どーしようもない話とどーしようもなく古代似の山本を送ります。
いえね、すっかり失念してまして(おい!)、やっつけ仕事でごめんなさい。
楽天さんは覚えておいでかな?あまねさん。
あれ以来、全然登場してないんですが…久々に書いてみましたわ。
私からのバースディプレゼント超遅刻ということで…わはははははは…ゴメンね。
寓犬 “ほんとにぐうたらだわね” より
■寓犬師匠殿!
このワタシが「あまねちゃん」を忘れるわけないじゃ〜ないですかぁ〜!!
で、前は「あまねちゃんにしてやられた山本」ですが、今回は「山本にしてやられた、あまねちゃん」なのね〜。(笑)
楽しくてステキなお話、そしてイラスト、ホントに有り難う。
イラストの山本、お話の山本の性格がよく表れてるっていうか。すっごく、繊細でやさしそうなのよね〜。
とにかく、ふっ、と浮かんだ微笑が!かっ、かっ、かわいいンすぅ〜!!
この、やわらかそうなほっぺをぷにぷにしたいーーーっ!!抱きしめたーーーいっ!!
(どうどう、落ち着くのよ。楽天!)
でもって…・・・あの雪だるま、ワタシに似てます……実際。ものすごく。
アレにメガネと古代君ヅラ乗せたら、まんまワタシじゃないですか〜。
――なので。
山本の手がワタシの頭と顔に触れてると思うと……きゃあきゃあ♪嬉しすぎるっ!!
それに、それに鼻歌、歌うのよ、山本が!歌うのよ、山本がーーーーっ!!
(どうどう、落ち着くのよ。楽天!)
寓犬殿!
楽天、恋人とよりを戻さんでも、山本がいてくれれば、それでもよござんす。
いえ、むしろその方が……って、「彼女」は楽天じゃなく、「あまねちゃん」なのよね、はいはい。
でもって、確か「彼」は山本に瓜二つのイイ男だったですよね……。
いいのう、あまねちゃんは。
――ちなみにウチのダンナは、そこはかとなくダチ●ウの上●竜兵に似ております。
なので。悲しいかな、西田●行のモノマネすると似ております……。(T_T)
寓犬殿、とってもとっても素敵なプレゼントを有り難うございました♪
■「楽 天子ちゃん」について
寓犬さんのサイトに行かれたことのある方でしたら、もしかしたら御存知かも知れませんが。
ええと一昨年だったかな?
やはり誕生日プレゼントとして、「楽 天子(らく あまね)」という、限りなく私に似ている(?/笑)キャラを出してもらって、
『Lucky Birthday!』(だったかな?…ですよね。)という、すっごく素敵なオハナシを書いていただいたんですよ。
ヤマト初航海のハナシで、「あまねちゃん」は、ヒトをまとめるのと雑用をするのが大嫌いで。故に、医療チームのサブリーダーに回ったという看護師。でもって、いつも黄色い声出してロコツに山本を追い掛け回している女――といった役所でしたでしょうか。(笑)
背が小さくてメガネかけてて。しかも雑用が大嫌い。そしてそして、メンクイである――というあたり、とってもワタシに似ている彼女。
とにかくワタクシ、彼女「楽 天子ちゃん」を愛してやみません。
ええ、寓犬さんとこのオリキャラの中では、断然、依怙贔屓しとりますです。(笑)