Jealous Girl



彼女の死はテレビのニュースで知った。
目の前の結婚式をふいにして、婚約者と共に地球を救って死んだのだ。
そう、結局、最後まであの娘は特別だった。
いつだって、あの娘はヒロインだったのだ。私なんかとは違うのだ。

「あの子らしいわね……。」
そう言ってエプロンの裾で母が目頭を押さえる。
「あの子は小さい時から利発で器量が良くて、正義感の強い、やさしい子だったわよね……。」

母は彼女を非の打ち所がない娘と称賛し、頭のデキはいまひとつの上、器量にも恵まれず、これといった取り柄もない、平々凡々と育った実の娘と比べながら、在りし日の彼女を懐かしんだ。

彼女――森雪のことを、母は今でも私の親友だと思っている。
そして愚かしいことに自分の娘が、その悲劇的な死でタレント並みに有名になった彼女の友人であることに鼻高々だった。

私は人知れず。
ただもう、笑うしかなかった。



確かに幼い頃は、互いの家を行き来するくらい、彼女とはよく遊んだものだった。
私も彼女と遊ぶのが楽しかった。
あの頃の私と彼女は紛れもなく“なかよし”だった。
けれどそれは。
まだなにも知らない、無邪気で幼い頃の話。

いつの頃からか、彼女は“なかよし”なんかじゃなくなっていた。
何故なら彼女は。
大好きな人をいつも私から奪ってしまうから。

彼女は幼い頃から利発で頭の回転が早く、器用でなんでもソツなくこなしてしまう子だった。
そう。彼女は。
選ばれたように、天から二物も三物も与えるれている子だったのだ。

「まあ、ユキちゃん!もうそれできるの?すごいわね。」
「あら、ユキちゃん!もうそんなことがわかるの?おりこうさんね。」
「わあ、ユキちゃん!かわいいわねえ。ほんとにユキちゃんは器量よしねえ。」

そんなふうに。
母はいつも彼女をほめる。
まるでうらやむようにほめちぎる。

「ウチのなんか、まだまだよ。」
「ウチのはだめよ。ぜんぜんよ。」
「ウチのと違って、ユキちゃん、えらいわ。」

彼女の隣で母のそんな言葉を聞くたび。
私はいつもいたたまれなかった。
父もまた、母と似たようなものだった。


それでも。
人見知りで友達を作るのが苦手だった私は、しっかりもので面倒見のいい彼女の側にいつもいた。
学校に上がってからも、ずっと。
そんな自分がいやだと思いつつも、ひとりになってしまうのは怖かった。




私達の仲を違えたきっかけは、初めて芽生えた小さな恋、だった。

あれは――。
小学3年の時だった。
私は同じクラスの、学級委員の男の子を好きになった。
“彼”――ナオトは。
背が高くて、運動神経バツグンで、成績もよくて。
その年頃にしてはちょっと大人びていた彼だったが、明るく人望も厚くて、いつもクラスの中心にいるような少年だった。

ある日の放課後。
私は偶然、聞いてしまったのだ。
彼が友達と好きな女の子について話すのを。
彼が人知れず思いを寄せていたのは、ユキだった。
私の初恋は、終わった。あっけなく終わってしまった。

またユキだ――と思った。
やっぱり、やっぱりユキなんだ――と思った。

ユキ、ユキ、ユキっ!
ユキばっかり……。
なんで!?
なんで私じゃないの?
なんで私じゃダメなの?

なんて……。
なんて惨めなんだろう、私。
どうして。
どうしてこんな思いをしなくちゃならないんだろう。

彼だけじゃない。
お父さんもお母さんも。
先生だってそうだ。

私はいつも彼女の引き立て役だ。

地味で要領が悪くて不器用で。
なんのとりえもない子。
勉強はできないし、顔だってかわいくない。
どこからどうみても、つまんない子。

ユキといると、そのことをいやというほど思い知らされる。
私がずっと漠然と抱いていたイヤな感覚はこれだったんだ。

そうよ。
最初からユキなんか友達じゃない。
私はあの子のことが憎くて憎くて仕方なかったんだ。


その日――。
私の心の奥深くに鬱積していた想いが、一気に弾けた。

私は雪との接触を一切、拒んだ。
雪は自分を避ける理由を、必死になって訊ねる。

……うるさい。

……うるさい。うるさい。うるさいっ!

しつこくつきまとうユキに、私はたまらずキッと振り返る。

「何よ!私だって機嫌の悪い日くらいあるよ!」

「え……?あ……。ごめん、でも……。アヤ、どう、したっていうの?ねえ、何かあったの?」

「放っておいてよ。話しかけないでよ!」

ユキが、大きく眼を見開いたまま愕然と私を見つめる。
いい気味だ、と私は思った。

ユキは諦めきれないように私の手を取ると、何か言おうと口を開きかけた。
何も聞きたくなかった私は、更に言葉をついだ。

「放してよ!そうやって友達面しちゃって、いい子ぶって!ホントのこと言うと、私、ユキのそういうところが大っ嫌いだったのッ!」

ユキの手がふっ、と緩んで、掴んでいた私の手を離した。

「アヤ……。どうして?なんで急にそんなこと――」
ユキが呻くように訊ねるのを私は激しく遮った。

「別に急じゃないよ。ホントは私、あんたのことが嫌いだったの!
なのに、お父さんもお母さんも周りのみんなも、私とユキが親友どうしだって勝手に思い込んでる!
違うのに!
私はあんたのことなんて、あんたのことなんて最初から、ぜんっぜん、好きじゃなかったんだから!もうつきまとわないでよ!」

「アヤ……。」

――あの時の。
驚き、呆然としたユキの顔を、私は今でも憶えている。

ユキは目にいっぱい涙をためて私を見つめた。
何か言いかけたけれど言葉にならずに、その目からぽろぽろと涙が零れ落ちた。
ユキは零れる涙を拭いもせず、まさに茫然自失といった表情で私を見つめ続ける。
あんな彼女の顔を見るのは初めてだった。
胸の奥が。
何故だか、ちくり、と痛んだ。
けれど一方で。
やはり、ざまあみろ――と思った。

私は再び顔を背けると、立ち尽くすユキを残し、その場から逃れるように教室を飛び出し、そのまま学校を早退した。



あの日――。
私はふたつの絆を失った。

ひとつは自ら手放した友達。
ひとつは初めて好きになった、ホントに大好きだった男の子。

ユキはどうでも。
彼とはずっと仲良しでいたかったのに。
ユキを想う彼は一方的に彼女を傷つけた――と。
私を軽蔑し、遠去けた。

みんなユキのせいだ。
みんなあの子のせいだ。

ユキさえいなかったら……。
ユキさえいなかったら私は……。


結局、ユキとは口をきかぬまま夏休みを迎え……。


9月――。

新学期を迎えたがユキは学校に来なかった。
父親の仕事の都合で森一家は引っ越し、別の学校に転校していったのだ。

それから更に2ヶ月が過ぎ――。
母が、どこで聞きつけたか久しぶりに森一家の近況を、頼みもしないのに私に話して聞かせた。
なんでも森一家は父親の仕事のためスウェーデンに渡り、雪は向こうで試験を受け、中学校に編入したのだという。
相変わらず大した才媛ぶりだと思ったが、いない相手にもはや腹も立たなかった。
何より、あの夏の終わりとともに彼への想いもまた欠落していたのだ。

そう言えば――。
彼女から手紙が来ていた。
私は読まずに捨てた。
モバイルメールも何通も届いていた。
それも、やはり読まずに破棄したし、疎ましさのあまり受信すらも拒否し、やがてアドレスも変え、彼女からのコンタクトを一切、シャットアウトした。
読んでみたところで不愉快になるだけだ。

そうだ。
これで終わったんだ。

望んだとおりになったのだ。
私が望んだとおり、私の前からユキは消えてくれたのだ。

……すっきりした筈なのに。
それからというもの、私の心が晴れることはなかった。




間もなく。
ガミラスの遊星爆弾による侵略が始まり、私達は地下生活を余儀なくされた。
生徒達は皆、ばらばらになった。


それからどれくらい経ったろうか。
私はユキが日本に戻って来ている――という噂を聞いた。
どこかの中学に編入したらしい、という話だったが、もう彼女のことはどうでもよくなっていた。
ガミラスからの攻撃が激化し、そんなことよりも、私達は生き延びることを考えるのが先決だった。



暗い時代が訪れて――。
地球防衛軍の必死の抵抗も虚しく人類滅亡のカウントダウンが始まった――と、まことしやかな情報が流れるようになり、どうせ死ぬのだ、みんなまとめて死ぬのだ、と人々は恐怖と絶望に打ちひしがれた。
そしてもう、どうにもならぬのだと諦念している者さえいる中、私もまた未来への希望を見出せないまま、18の誕生日を空虚な心で迎えていた。

しかし。
わずかな希望の光が射した。
イスカンダルという見知らぬ星から、救いの手が差し伸べられたのだ。
私達はこれにすがるよりほかなかった。


その日――。
異星人の設計図により生み出され、ヤマト、と名づけられた宇宙戦艦が、いよいよ旅立つ。
私はテレビの中継をぼんやりと見ていた。
希望の艦・ヤマトに、選ばれし精鋭達が行進をしながら続々と乗り込んでいる。
乗組員は私と同じくらいの世代の、若い人が殆どだった。

私なんかとは違う、選ばれた人たち……。

と。
わずかな人数の女性乗組員のひとりに、私の眼は釘付けになった。

あれは……。あの女性は……。
ユキ……?
間違いない!ユキ、ユキだ!
ユキがいる!
ユキがヤマトに乗る!?
そうか……。なるほど。
彼女なら有り得ないことではない。
別に驚くことでもないのだ。
むしろ、選ばれるべくして選ばれたのだ。
やっぱりそうなのだ。

こんなところで彼女と再会するなんて……。

違うのだ、私とは。
やっぱり、あの娘は違うのだ。

今度はあの娘に守ってもらうのか。
この年齢になっても、まだあの娘から。
私は、いつ訪れるかわからない地球最期の日に怯えながら、私自身の未来をあの娘に託さなければならないのだ。

私は自身を嗤った。
嗤いながら泣いていた。
どうして私の存在は、こうも惨めなのだろうか、と。

私は――。
ただ、暗い地の底でひたすら死に怯え、時には絶望し、膝を抱えて震えながら、ヤマトの勝利を祈るだけの日々だった。

そして――。

彼女を乗せたヤマトは勝って。
英雄のひとりとして還ってきた。
彼女は文字通りヒロインになったのだ。

エリートの彼女。

噂によれば、ヤマトで一緒だった、やはりエリートの青年と婚約したのだという。
あの娘はどんなに幸せな人生を送るだろう。

平々凡々と、小さな会社で事務仕事をやっとこなしている私。
地味で口下手で、そんなありふれた仕事ですら大してできるわけじゃない。
器量にだって恵まれない。
そんな私に素敵な恋人なんてできようはずもない。

うらやんでもしかたない。
うらやんでもしかたないけれど、でも……。


ユキへの、ふつふつと滾る嫉妬心に囚われたまま、ただ流れるように私の日々は過ぎていった。




2201年――。
地球は再び危急存亡の秋を迎えた。
しかし、私の知らぬところでそれは起きていて。
私の知らぬところで森雪は再び戦火に身を投じていた。
今度は英雄ではなく、反逆者のひとりとして。

ガミラスを超える脅威が眼前に現れ、存亡の選択を迫られる、その時まで。
私は何も知らなかった。

戦力を甚だしく過信した地球防衛軍がその脅威に呆気なく破れ、再び地球人類は絶望した。
そこに――。
反逆の艦だったヤマトが現れ、激しい攻防の末、その身を挺して地球を守った。
ヤマトからの帰還者は、わずか17名だった。

――私はユキに、またもやユキ達に救われた。
   そして彼女は、帰らなかった。




今日は――。
今度の戦いで亡くなった人達の合同の慰霊祭の日。

私は喪服を来て参列していた。
それも無理矢理、半ば強制的に。
口うるさい母に背中を押されるようにしてこの慰霊祭によこされたのだ。

そこで。
森雪の両親の姿を十何年ぶりかで見た。
憔悴しきった彼女の両親は、私の知っているその人達とはまるで別人のように老け込んでいて、初めはそれとわからずにいたほどだった。
そのふたりが、悲しみに崩折れ、激しく嗚咽するのを見た時、私は後ろめたさに逃げるようにその場を離れた。

参列者達の後方で、ぼんやりしていた時。
後ろからぽんっ、と肩を叩かれ、私は飛び上がるほどに驚いた。
振り返ると――。
見知った顔が笑いかけた。
それは小学校時代の同級生のひとり、タカヒロだった。
およそ十年ぶりの再会だった。

――本当は会いたくなんかなかったのに。
タカヒロは、大好きだった“彼”――ナオトの幼馴染みであり、親友だったのだ。

タカヒロは――。
昔と変わらない人懐こさで私に微笑みかけ、馴れ馴れしいまでに肩を叩いたり背中を叩いたりしながら、ひとりでべらべらと昔話をした。
いささかうんざりして、なんとかその場を立ち去ろうと考えていた時だった。
タカヒロはふと。
ナオトとナオトの家族がガミラスの遊星爆弾で死んだ、と淋しげに告げた。

それから――。
タカヒロは、実はナオトにずっと嫉妬し続けていた、と言い。
本当は私の気持ちがわからないでもなかった、と今さらのように話す。

「なあ。アヤカ、おまえ……。ずっと森を羨んで生きてきたのか?」
ふと、タカヒロが真顔で訊ねた。

「そうよ……。」とだけ答えると私はタカヒロから顔を背けた。

タカヒロは。
そうか、と言って微笑むと、穏やかな声で言った。

「なあ、アヤカ。少なくとも森を妬み続けることだけに時間やエネルギー費やすのは、もう終わりにしねえ?
いいじゃねえか、平凡でも。
俺はさ、俺の場合はさ……。
どうみたってナオトみたいに男前じゃねえしよ。それにナンの取り柄もなくて、ヒトに胸張って堂々と語れるような人生送ってるワケでもなくて、どっちかって言やぁ、何やってもダメな人間だけどさ。
でも、そんな俺みたいなのがここでこうやって生きてる。
そのことに意味があるのかどうかなんてのもわかんねえけど、それでも顔上げて生きてりゃいいこともあるんじゃないか、って思うようになってさ。
――って、まあ……。都合のいい開き直りかも知んねえけどな。」

私はどう答えていいかもわからず、黙り込む。
タカヒロは更に言葉を継いだ。

「森もナオトもさ。前向きっていうかひたむきっていうか、手抜きナシで頑張っちゃうっていうか。とにかく努力は惜しまないタイプだっただろ?
今思うとあいつら……生き急いでたのかな、って思えなくもなくてさ。」

空を見上げ、タカヒロは淋しげだった。

私は。
私は見たくない自分も、認めたくない自分も、すべてユキのせいにして、結局は何もせずに生きてきた。

でもユキは。
私やタカがこれから生きるだろう、あと何十年かの長い人生を。
二十年足らずの短い時間に凝縮して生きたのかも知れない。

タカの言葉に。
ふと、そんな風に思って。
わけもなく涙が零れ落ちた。
思ってもみない涙だった。

「タカ、私……。」

「いいさ。何も言わなくてもわかってるさ。俺もたぶん、おまえとおんなじ気持ちだ。
俺もどっかでナオトになろうとしてたんだと思う。それが俺をがんじがらめに縛ってたんだと思う。」
そう言ってタカヒロは苦笑いしながら、やっぱり空を見上げた。

「森のやつ――。
惚れた男と結局、一緒になれなかったんだなあ。ホントは生きたかっただろうなあ。」

「そう、だね……。
結婚して子供産んでダンナさんと一緒に温かい家庭を育んでいく――。そんな当り前の人生を送りたかったよね、きっと……。」

「アイツも……。ナオトも、やりたいこといっぱいあっただろうになあ。だってナオトなんか、たった11年の人生だったんだぜ?」

突如、涙が込み上げた。
膝が震え、しゃがみ込むと、堪えきれずに私は声を上げて泣いた。
もう、けして会うことのできない親友と、そして初恋の少年。
取り返しのつかない月日を、私は今さらのように悔やんだ。

タカヒロは。
私の頭にそっと手を置くと、呟くように言った。
「なあ、アヤカ。好いたの惚れたの、そんな次元じゃなくてさ。俺、おまえが生きててくれて、おまえがこうしてここにいてくれてさ。よかったなって思ってるんだ。ホントだぜ?
俺もいろいろ悔やむことだらけだけどさ。このまま座り込んじまうのだけはイヤなんだ。これまでとなンも変わんなくなっちまうからな。
カッコ悪くてもみっともなくてもさ、俺は俺の人生を生きてくつもりだ。
――って、ちょっと気障だったか?」

タカヒロは私の背中をポンと叩き、見上げる私に悪戯っぽく笑いかけると、その場に不謹慎なほど大きく伸びをした。
私は涙がとめどなく溢れ、何をどう言葉にしていいのかもわからず再びうつむき、嗚咽した。


慰霊祭はしめやかに行われ、できて間もない鎮魂の鐘の音とともに雪を含めた戦死者達の魂を見送って締めくくられた。

タカヒロは。
涙でくしゃくしゃになった私の顔を見て、苦笑するとズボンのポケットからハンカチを取り出したが、ぐしゃぐしゃに丸まっていてどうにもキレイとは言い難かったので、上着のポケットというポケットを探りあて、ようやくテイッシュを取り出すと、鼻、かめよ――と言いながら照れ臭そうにそれを私につきつけた。

それから、ふたり丘の上の一角で――。
芝の上に座り込んだまま、海を見るとはなしに見ながら、ただ、ぼんやりしていたように思う。
列席者の殆どが帰ってゆき、人もまばらになった頃――。

「さあて、帰るかな。」
タカヒロはようやく立ち上がると、私にも促すように手を差し出した。
それから、ズボンについた芝を払いながら、気が向いたら遊びに来いよ――とそう言って手帳に連絡先を書くと、乱暴に破ってよこした。
そして、またな、と笑顔で手をかざすと、丘を足早に下って帰って行った。


ひとり残された私は――。
それからまだしばらくそこに立ち、暮れてゆく海を見つめていた。
海風を身体中に受けながら。
儚い生涯を終えた初恋の少年と駆け抜けるように去っていった親友の人生を、この小さな掌に引き受けた気がした。


――ごめんね、ユキ。
   ありがとう、タカ。

ごく自然に唇から零れた言葉。

――私、自分で自分をずっとずっと長いこと縛ってたんだね。
   でも、これからは……。


この日――。

私は親友の魂と。
昨日までの卑屈でささくれだった自分とを。
鐘の音とともに見送った。
無意味に費やしてしまった時間をやはり悔いつつも。
新しく歩いていけそうな気がした。

そうして何か見つけることができたなら……。
タカヒロに会いに行こう。

――そんな風に思っていた。


■END■