愛するパパとママへ。



この手紙が、お二人の手元に届いたということは、私は、もうこの世にはいないでしょう。


正直に言います。
戦闘の際に、私は負傷しました。
もう永くないとわかって、今、この手紙を書いています。

結婚式が目前だったのに、あんな置手紙ひとつで飛び出して行ってしまったうえ、このようなことになってしまって、本当に申し訳なく思っています。
パパとママのことを思うと胸が張り裂けそうなほど、辛くなります。本当にごめんなさい。


彗星帝国の出現は、私の、私達の未来のすべてを変えてしまいました。
地球の危機を懸念して、古代君やヤマトの仲間達が、反逆の罪を犯してまで再び戦いの中へ身を投じようとしている。
当然、私も参加するつもりでした。
でも。
古代君は私を思って、地球に置いて行こうとしました。
一時はそれに従おうとも思いましたが、私はいてもたってもいられなくなってしまったのです。
どんなに危険な旅だとしても、死ぬかもしれなくても、古代君と決して離れたくはなかった。
旅立ちの日が、たまたま結婚式と重なって、間が悪かっただけ。私は古代君と一緒にいられるだけでいい。それだけでいい。
自分にそう言い聞かせながらヤマトに密航しました。


確かに、結婚式も、新婚旅行も、そして二人だけの新しい生活も、望んでいた幸せは、何ひとつ掴むことはできなかった。
だけど、幸せのあり方はひとつだけじゃない。
古代君と、心から愛する人と共に生きることこそが、私にとって何よりの幸せなのです。
だから、私は後悔はしていません。


それに、どうやら私の中にも、宇宙戦士としての血が流れていたようで、ヤマトの仲間達と再び同じ志を掲げて戦えることを誇りに思っているのです。


でも、私の身体が、あとどれくらいもってくれるか。
何もできずに寝ている自分が、今はとても悔しい。
まだできることはあるはず。
私は最後まで戦うつもりです。


今なお激しい戦闘が続いていますが、ヤマトはきっと勝利すると信じています。
ヤマトの中には平和を願う戦士達の魂が息づいていますから。


古代君、私が死んでしまったら、悲しんでくれるかしら。
あの人のことだから自分を責めてしまうかも知れない。強そうに見えても繊細で、とても傷つきやすい人だから……。
彼のことが気がかりです。
ヤマトが勝って―。
古代君が無事に地球へ帰還したら、たとえ私がいなくても温かく迎えてあげて下さい。支えになってやって下さい。
古代進は、私が全身全霊をかけて愛した人です。どうか彼をよろしくお願いします。


パパ、ママ。
親不孝な私は、先に逝きます。
お二人を悲しませるかと思うと、言葉などでは言い表せないくらい、辛くてなりません。
できることなら私、もう一度だけ、パパとママに抱きしめてもらいたかった。


私は、宇宙の星として生まれ変わります。
そして遠い宇宙から、お二人の、地球のすべての人々の平和と幸福を祈り続けます。
肉体は消えても私の魂は消えない。
愛する人達の心の中で、私は永遠に生き続けることができる。


だから、さよならは言いません。
パパとママ、古代君やヤマトの仲間達、そして地球の大切な人達と、同じ志、そして未来への希望がある限り、私もまた生き続けることができる、そう信じています。


パパ、ママ。
私を生んでくれてありがとう。本当にありがとう。
そして愛してくれてありがとう。
私も、お二人を心から愛しています。
もしも、生まれ変わることがあるとしたら、私、もう一度、いえ、何度でもパパとママの娘として生まれてきたい。


私、とっても、とっても幸せな娘でした。


ありがとう




雪