おかえりなさい --- ひこうき雲 番外編 ---



ヤマト、帰還。
旅立ちの日と同じ、総司令部の地下庭園。
迎える群衆。
割れんばかりの歓声。

そして、再会の時――。

警備員の制止を振り切り、待ちわびた愛しい人を求めて、雪崩れ込む人々。

再会を喜び合う者達。
そして……悲しみに崩折れる戦死者の家族。

そんな悲喜交々の群集の中――。
埋もれるように佇んでいる神倉涼がいる。

涼の視線の先。
寄り添い、まるで恋人同士のような男女のクルー。

女性の方の両親と思しき二人が駆け寄る。
涙を流しながら、代わる代わる娘を抱きしめる両親。
やはり泣いている娘。

やや離れたところで、遠慮がちに俯いて佇む青年。

娘、振り返って青年を見やり、その手を引っ張って両親の前に立たせる。
何かを話して聞かせている娘。

両親はオーバーなくらいに反応し、まず父親が青年をガッと抱きしめると、バシバシとその背中を叩く。
涙ぐみながら、青年の手をぎゅっと握りしめる母親。

照れ臭そうに頭をかく青年。
スッ、と腕を組み、そんな青年の表情を嬉しそうに、幸せそうに見上げる娘。

その様子を、ぼんやりと見つめている涼。
と――。
彼女の背中を押し退けるように夢中で飛び出してくる娘。

よろける涼。

その先に虎縞のスカーフを首に巻いた、背の高い青年。
ガッと抱き合う恋人同士の二人。

小さく笑って――。
よかったね――といった表情の涼。

再び真顔に戻って。
懸命に誰かを探している涼。

あっ――という表情の涼。

加藤三郎の姿。

坊主頭の少年と抱き合う加藤。
家族に囲まれ、一人一人と抱き合って再会を喜んでいる。

その隣りに山本明の姿もある。

父親らしき男。
その後ろに遠慮がちに女性が立っている。
父親らしき男は山本の肩を叩き、くしゃくしゃと頭を撫でる。
すかさず乱れた髪を直しにかかる山本。
それを微笑んで見つめている女性。
彼女とも、そっと抱擁する山本。

その瞳が。
はっ、と何かを捉える。

涼が小さく頷く。

微笑む山本。
加藤を見やって。

山本の視線を受けて加藤、怪訝な顔つき。
目配せする山本。
その視線の先に。

涼がいる。

加藤、一瞬、目を丸くする。
そしてニヤリ。

微笑む涼。
そして、その目に、じわり……と涙。

涼、突然、群集をかきわけて進み始める。

揉みくちゃにされ、髪の毛も服も、くしゃくしゃになって、やっとのことで人ごみから押し出される涼。

その視線の先に。

加藤と山本、肩を並べて立っている。

笑顔の二人。
山本から加藤へ――。

涼。
しかし、遠慮がちに、その場に佇んでいる。

顔を見合わせ、懐から何かを取り出す加藤と山本。
旅立つ前、涼からお守り代わりにもらった、ブラックタイガーのキーホルダー。
ニッと笑って。
顔の前で取り出した「それ」を揺らす。

にこり、と笑う涼。
自分も同じキーホルダーを取り出し、掲げて見せる。
揃って大きく頷いてみせる、二人。

ダッ、と駆け出す涼。
彼女を迎えるように大きく手を広げる加藤、そして山本。

その胸に飛び込む涼。
加藤と山本。
涼を抱きしめつつ、頭やら背中やらをバシバシ叩く。

再会を喜び合う3人。
嬉し涙を流している涼。

群集。
歓声。
声。

 加藤「ちゃんと約束通り帰ったぜ!」
 山本「ただいま、涼!」
 涼「おかえりなさい!おかえりなさいっ!!」


西暦2200年9月5日。
ヤマト、地球に生還。

生存者、67名。
戦死者、47名。



おかえりなさい 終了