FIGHT!ファルコン隊
フォンロンから疾風のごとく出撃していくファルコン隊。
すぐさま激しい空中戦が始まった。
しかし。
勝呂率いる2番隊「チーム・ブラックピューマ」は意気揚々である。
(とっととケリをつけてやるぜ、ボラーさんよ!でもって早く吉岡を地球へ連れて帰ってやるんだ!)
リーダー・勝呂に先導され、次々に敵機を撃墜していく2番隊。
だが、敵も必死である。
新たな編隊を組んで、勝呂隊と激しい攻防戦となる。
一方、水谷率いる1番隊「チーム・ネオ・ブラックタイガー」は――。
勝呂隊同様、混戦模様であった。
機体の一部を損傷した味方機。
たちまち集中砲火を浴び、キリモミしながら敢えなく降下してゆく。
それを庇うかのように、スッ、と一機のファルコンが切り込んでくる。
そして、鮮やかなテクニックで敵機を引きつけて行く。
尾翼に他の機体とは違うカラーリングを施され、特別にカスタマイズされている機体。
パイロットは水谷。
水谷は高速で敵機の一団を引っ張って行く。
そしてそのまま、高速飛行を続けながら、突如、急旋回して先制攻撃をしかけた。
反応しきれない敵機。
たちまち数機が火を噴く。
しかし、水谷機はスピードを緩めることなく、再び混戦の只中へ突き進んでいく。
と、水谷の攻撃を逃れた敵の一機が、急速接近してきた。
水谷に劣らぬ際どい攻撃!
水谷は、ギリギリで交わすと逆にお見舞いしつつ、急旋回して、敵機の後ろに回り込もうとした。
しかし、敵もかなりの手練のようで、高速で移動して、あっさり交わす。
そして果敢にも水谷同様、旋回し、再び攻撃をしかけてくる。
「野郎、やるじゃねえか!」
舌なめずりをする水谷。
その動きが一瞬、早く、敵機を真正面から攻撃。
しかし、敵機は、それよりわずかに早く、グンッと機体を高速上昇させた。
間一髪のところで逃れる。
「くっ!一筋縄じゃいかねえってか?へっ、上等ッ!」
水谷も瞬時に動いている。
攻撃を回避されると同時に、機体をループさせて、今度はキッチリと後ろを取った。
「今度こそ!」
やったか?――。
しかし。
捉えた筈の機体が、一瞬、早く沈み込んだ。
水谷機からの掃射は敵機の尾翼をかすめただけに留まった。
水谷は、その見事な回避機動に敵ながら思わず目を見張る。
(あれをよけちまうなんて!!)
再び仕留め損ねて悔しそうに舌打ちしつつも、何故か嬉しそうな水谷。
「だが、俺も負けちゃいないぜ!」
水谷は、損傷した尾翼を気にしたのか、敵機が見せた、ほんのわずかな隙を見逃してはいなかった。
次の動きを瞬時に捉えてトリガーを引く!
目映い閃光。
敵機はバッ、と火を噴き、爆発、四散して水谷の視界から消えた。
「すごいヤツだったな……。敵にしとくのも死なせるのも惜しいヤツだった。」
水谷はホッと息をつくと、戦いに散った凄腕の敵に敬意を表し、小さく敬礼をする。
(あれが……。あれが、隊長の実力――?)
水谷のドッグファイトを離れた位置から見ていた勝呂は、産毛までが逆立ち、全身が震える思いだった。
これまで自分がやってきた集団戦では、水谷よりも自分の方が上ではないか――と自負していた。
だが、水谷のあの戦いぶりはどうだ?
――そう言えば、加藤センパイが言っていたっけ。
『俺や俺の兄貴と違って水谷はな。単独での格闘戦で本領を発揮するタイプだそうだ。死ぬか生きるかのドッグファイトをしてこそ、その腕前は冴える。かつてブラックタイガーに乗ってた先輩の話では山本さんタイプの戦闘機乗りらしい。俺は見たことないが、とにかく神業的なテクニックらしいぜ?』
あれが……加藤さんの言う、隊長の神業的テクニック、か。
すげえ!すげえよ、隊長!
「ヒュウッ!!さすが隊長!俺、マジで見惚れちゃいましたよ!!」
茶化すような勝呂の声が飛び込んでくる。
「馬鹿野郎!!くっちゃべってるとやられるぞ!」
諌める水谷。
「わかってますよ、隊長殿!」
勝呂は、すぐに真顔になり、攻撃をターンして交わしながら敵機の中へと高速で切り込んでいく!
「あの馬鹿!無茶しやがって!」
顔をしかめる水谷。
(エディ、おまえ、ホントに手のかかる相手を相棒にしてたんだな。やれやれ。これからはヤツの面倒は俺が見てやるよ。ヤツはまだまだ甘ちゃんだからな。)
――何よりヤツの飛び方は、俺ソックリだからな。危なっかしいったらありゃしねえ。
水谷は小さく苦笑すると、大きく旋回し、勝呂の後を追った。