バレンタイン・嘆キッス?
<居酒屋編>
真田「時に神倉クン。今日はナンの日か知っているか?」
涼「え?今日、ですか?なんかありましたっけ?」
真田「バレンタインデーだ。」
涼「ぐえ〜。」
太田「そう、バレンタインデー。クリスマスと双璧をなして、うざったい日だぜ……。」
涼「はあ、バレンタインデーね……。ワタシの中にはない行事だな。」
真田「うむ。俺の中にもないな。」
太田「でも、いつも南部が高級なチョコをいっぱい持ってきてくれるからな。」
真田「いつも思うが貴様にはプライドというものがないのか?」
涼「最終的には食い気が勝つのよ。」
太田「だって捨てちゃうってんだぜ、南部のヤツ。もったいねえじゃねえか!食いモンを粗末にするとバチが当たるってもんだぜ!」
涼「はいはい。食ってなさい。どっちかっていうと……ワタシ、女のコから何やらいろいろモノを貰いましたけど――。」
太田「それって、女子校のノリだよなあ。女子校……いいよなあ。」
涼「おいっ、想像するなよ、ケンちゃん!でもねえ。同性に惚れられてもねえ。殿方からの贈り物なら、それも鼻血出そうなくらいの男前なら喜んでいただきますけどねえ。」
太田「涼ちゃんは好きな人に、何か贈ったりとかしないの?」
涼「んなもん!言ったでしょうが。私の中にはない行事だって。」
太田「え!じゃカレシとかいない……?」
涼「ま、テキトウにはやってますけど?」
太田「えっ?えっ?えっ?それってどういう?」
涼「そのまんま言葉通りテキトウに――」
太田「!!!!!!!!(で、でもホントにカレシいたら……こんな日に、こんなとこで飲んでるワケねえじゃん?)」
真田「ほう?それは激しいな。俺と同じじゃあないか。気が合うな。」
涼「!!!!!!!!!」
太田「!!!!!!!!!」
一瞬だけだが、心が通じ合った気がした、涼と太田である……。
真田「どうでもいいが、なんだかんだケンカしつつ、あいつら今頃、よろしくやってるだろうな。」
涼「でしょうなあ。類稀なるバカップルですからなあ。」
太田「えらい言われようだなあ……。」
涼「あんたもねえ、食ってばっかいないで少しは色気を……。いや、いい。あんたはそのままでいいわ。うん。」
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飲んで飲んで食いまくる3人!!
そりゃもう仇でも取るような、ものすごい勢い!
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真田「わははははははははははは!!!!!」
涼「し、しろうちゃん?何か突然、ひとりでバカ受けだけど?」
太田「どうやら酒が回ったらしいな……。早いトコ退散しようっと。」
涼「なんでっ??」
太田が涼に、こそっと耳打ちする。
太田「そのうち、くどくど説教が始まるんだよ〜。一度、捕まると逃げるのは困難だぜ?」
涼「げげ!早く言えよな〜。じゃ、ワタシもトンズラしなきゃじゃん!」
太田「そうした方がいいぞ。あ、真田さあ〜ん、オレ、ちょっとションベン行ってきまぁ〜す!!!」
涼「!(あ、てめ!太田っ!早速、逃げやがって!このままじゃ生贄になっちゃうじゃないか〜!あいつに女がいないわけが、よ〜くわかった!!馬鹿野郎〜!!)」
真田「わははははははは。太田ぁ、チャックで○△×挟むなよ。わははははははは!!!!まあ、挟むほどリッパじゃないだろうが。わはははははは。俺は違うぞ〜!!鍛えてるからなあ。」
涼「いやあん!真田さんたらぁ〜ん!(聞いてねえよ!それに、そんなトコ、どうやって鍛えるんだよっ!やばいなあ。しろうちゃんてば、マジできてるよ。だんだんお下劣になってるし〜)」
太田に取り残されて泣きそうな涼。
真田「ん?おまえ、よく見ると美人だな?」
涼「あら〜!やだ〜!涼、嬉しいぃ〜。(よく見ないとワカラナイのかよ?)」
真田「だが、目つきが悪い。わはははははは!!澪の方がずっと美人だ!わはははははは!!」
涼「ひっどぉ〜い、しろうちゃんたらぁ〜。(この親バカしろう!!)悔しいからワタシ、マジでお化粧直してこようかしら?」
真田「わははははは!その方がいい。ばっちり埋め立てて顔、描き直してこいよ〜!!わはははは!」
涼「(さなだしろおおおォ〜っ!ぶっ殺す!!)はあ〜い。じゃ、待っててね〜。」
涼「大将!ワタシら帰るんで。全部、しろうちゃんにツケといて。じゃ、あとよろしく!!」
大将「へ?はあ。」
そう言って投げキッスを残すと、涼も,こっそり、ずらかったのであった……
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その後、酔いの醒めぬ真田はバレンタインデーのプレゼントに、ワケも分からず飲み屋の伝票をいただいた。
夜は押しなべて更けつつも、三者三様それぞれにバンレンタインデーなんか大ッキライなのであった。(そして作者もまたしかり……。)
ああ、嘆きのバレンタイン……。
甘〜く熱い夜を過ごすのは、恋人達ばかりなり……。