悪夢の再来


地球防衛軍司令部管制室に、けたたましいアラートが響き渡る。

「アルファ星基地が未確認の敵から攻撃を受けた模様!!多数のミサイルにより、無人基地は壊滅、有人基地にも甚大な被害が出た模様。」
通信担当官の一人が、やや上ずった声で叫んだ。

「何!?探知衛星はどうした?」
参謀の春日が、副官と共に駆け寄る。

「衛星に感知されなかったところをみると、恐らくワープにより送り込まれたミサイルと思われます!」
「何だって!?」
春日は声を荒げた。

「たっ、大変です!」
「今度は何だ!?」
春日の声が裏返る。

「だっ、第11番惑星が同様のミサイルで攻撃を!!死傷者多数!!」
「何だと!!警戒衛星はどうした?」
「わっ、わかりませんが……機能しなかったということは、恐らく破壊されたものと……。」
「ばっ、バカな!?」
春日はさすがに焦り出した。

事態を知った地球防衛郡司令長官、フレデリック・バウムガーデンが駆け込んで来る。

「あ!映像とデータが来ました。これによると……ああ!!次元潜行可能と思われる小型戦闘機らしきものの姿をキャッチしています。」
「まさか……ガミラスなのか?」
「いえ。それはあり得ないでしょう。あり得るとすれば――」
「ボラーか?」
「その線が濃いかと……。しかし未確認です。」

腕組をし、黙って聞いていたバウムガーデンが口を開く。
「太陽系外周艦隊のそれぞれの位置は?」
「はいっ!第11番惑星最寄の艦は、第6艦隊です。現在、全速力で第11番惑星に向かっています。第7艦隊は、やや離れていますが、進路を変更し、11番惑星に向かう――とのことです。第2、第4艦隊は現在、月基地、第1、第3、第5艦隊は現在、地球に帰還しております」

「春日!!何を呆けている?各基地、内外惑星の防衛艦隊に緊急体制をしくよう指示しろ!」
「はっ!」

「全司令部員に告ぐ。今からスクランブルシフトAを発令する。」
「了解!!」

「大統領に連絡を。それから科学局の真田君と連絡を取れ!すぐにだ!状況によってはフォンロン、アリゾナ、ビスマルク、アンドロメダIIの発進準備を要請しろ!」
「はっ!」

「スクランブルシフトA発令、スクランブルシフトA発令。迅速に体制を整えよ!!」
「最終防衛ライン強化。無人・有人艦隊、発進準備体制。」

(警戒していたにもかかわらず何という失態だ……。悪夢の……悪夢の再来なのか……?地球にヤマトはもういないというのに……。)
焦燥と不安の中で、バウムガーデンの脳裏に、退任した藤堂兵九郎と、ヤマトの遺児達の姿が過った。

「ちょ、長官!!ボ、ボラーです!!ボラーから入電です。映像はありません。」
通信担当官が緊迫した声で叫ぶ。
「何だと!?」
一同が駆け寄る。

「が、概略まとめました。これによると――太陽系は、我々、新生ボラー連邦の新拠点として、最もふさわしい場所である。しかしながら地球の存在は、我々にとって害はあっても利のないものであり、またそこに住まう人類は無用の民である。したがって地球人類は駆除すべきものと我々は判断した。よって、地球に対し宣戦布告する――」
「何だと!!」
春日は激昂した。
「む、無用だと!!駆除だと!!ふざけやがって!!」
副官も両の拳を硬く握り締める。
「全く持って、野蛮でくだらん理屈だ!」
低く呟くバウムガーデン。
「でもこれで……敵が何者であるかがハッキリしましたね。」
長官付筆頭秘書の相原晶子が、蒼褪めた顔で言った。

「長官。大統領からです。」
パネルに大統領の姿が映し出される。
「まったく……。またこのようなことが起きてしまうとはな。私も事態を憂えているよ。」
苦虫を噛み潰したような面持ちで、大統領は言った
「敵は新生ボラー連邦を名乗り、たった今、地球に対し宣戦布告してきました。」
バウムガーデンの報告に、大統領の顔が強張った。
「そうか。ボラーか。有事に際し、これより連邦議会及び行政府の指揮権を地球防衛軍内に移行する。徹底交戦だ。」
大統領は力強い声で告げた。
「当然です。」
深く頷くバウムガーデン。
「頼むぞ!フレデリック。地球を侵略者の手に渡してはならん!!」
「はっ!」

「新生ボラーとやらがどこまで力を蓄えたか知れんが、ずいぶんと舐めてくれたものだな。だが、我々は、易々と侵略させない。」
バウムガーデンは不安を振り払うように、力強い口調で言った。
「ボラーには何と?」
「寝ぼけるな――と言ってやれ!」
「は……?」
「寝ぼけるな、だ。」
「は!ど、何処かで聞いたような……。」
「何がだ?ぐずぐずするな!」
「はい!!」

地球は、新たなる脅威にさらされようとしていた。

しかし――。

数々の戦いと、それに伴う苦しみと悲しみを乗り越えてきた地球人類は、新たなる魔手に、臆せず屈服もせず、平和と幸福を守るために、再び戦いの中に身を投じる決意をした。


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