戦いの幕開け
緊迫した声で相原が叫ぶ。
「第11番惑星空域で、先に出ていたアリゾナが敵艦隊と接触。戦闘に入った模様。」
「冥王星空域にも敵艦多数出現!」
吉岡の声が響く。
「早速、おいでなすったか!」
ニヤリとして徳川が低く呟く。
「吉岡!亜空間レーダーも作動させて、詳細情報を出せ!」
「はい。戦艦が12隻、戦闘攻撃機が数十機――亜空間ソナー、駆逐艦5隻をキャッチしました!」
「へっ!今更、そんな戦法使ったってバレバレなんだよ。」
自信満々の土方がニヤリと笑い、声を張り上げた。
「総員、早急に戦闘態勢に入れ!ファルコン隊出撃準備!!」
熱くなる土方とは対照的に、古代は静かに、悠然と立ち上がった。
「遊動艦隊各艦に告ぐ!敵艦隊を捕捉した。各艦詳細を確認・把握次第、陣形Aを取り待機。指示を待て!!」
『了解!』
ピリピリとした空気がメインブリッジに漂った。
戦闘経験のない者は皆、硬い表情で身構えている。
(まずいな……。)
古代はクルーが緊張のために浮き足立つことを恐れた。
「よう、おまえら、そうガチガチになんなよ。大丈夫だって。フォンロンを信頼しろ。何しろヤマトを知り尽くした真田さんと真田さんを知り尽くした俺が丹精した艦なんだからなあ。」
張り詰めた空気を破って、桑原が間延びした声で言った。
徳川がたまらず、ぷっ、と吹き出した。
「おいおい。真田さんを知り尽くした……ってどういうコトよ?ナンだか妖しげな響きがあるなあ。」
「知り尽くしたっていやあ、機関長……。」
そう言ってニヤッ、と笑ったきり、桑原は押し黙った。
「お、おい。そこで黙るなよ。」
「バ〜カ。マジに取るなよ!」
「桑原、てめえ、このヤロ〜っ!!」
ボケ同士の漫才のような二人のやりとりに、一同の緊張が、ふっ、と溶ける。
(しょうがないヤツらだ。しかしまあ、おまえらの気遣いには感謝するぜ。)
古代も苦笑した。
しかし、すぐに真顔に戻る。
「敵艦隊より艦載機、飛来。100は下りません!!」
「ミサイルです。高速接近してきます!!」
「ファルコン、発進!各砲門、発射準備、待機せよ。」
「スコーピオ、次いで冬月、磯風、浜風、前に出ます。」
「よし。各艦、迎え撃て!!」
フォンロンの戦いが、今、始まった――。
先頭を行くスコーピオがミサイルを次々と迎撃していく。
「敵ミサイル、第一波撃破!!第二波来ます!!」
零れたミサイルを磯風、浜風が引き受け、その間に冬月とファルコンが敵艦隊に向かって突き進んでいった。
「左舷60度より駆逐艦が2隻、高速接近してきます!あ、亜空間より2隻浮上!計4隻!!」
「左舷波動ミサイル発射準備。」
「波動ミサイルは射程距離が短い!!砲撃手、充分引きつけてから、しっかり狙え!」
坂巻が怒鳴りながら指示をする。
「はいっ。」
「波動ミサイル発射!!」
波動ミサイルは駆逐艦めがけて真っ直ぐに突き進む。
白い閃光。
駆逐艦は消滅した。
「すげえな……。」
坂巻は波動ミサイルの威力に舌を巻いた。
親指を立て、得意げな顔の桑原。
古代の指揮の下、戦況は機動力を誇る地球艦隊が優位に立っていた。
しかし、若い乗組員で構成されている艦は、少なからず損傷を受けている。
「前方よりミサイル群、急接近!」
「迎撃ミサイル発射!」
「右舷に敵艦載機多数接近!」
「波動ミサイル準備!」
「おい!砲撃手、何ぼやぼやしているっ!」
「はっ、はいっ!!」
「右舷波動ミサイル発射!」
「二時の方向、大型ミサイル接近!!あっ!九時の方向にも大型ミサイルです!」
「どうした?もたつくな!迎え撃て!」
「はいっ!」
若いスタッフは、経験の浅さから判断力にやや欠けるむきがあり、指揮を取る古代は勿論、リーダー達は必要以上に消耗した。
(沖田艦長も、若い俺達を抱えて大変だったろうな。)
戦闘班の1人を大声で怒鳴った後、古代の脳裏に、在りし日の沖田の姿が、ふと過った。